虚血性心疾患とは、冠状動脈の狭窄によって起こる心疾患で、殆どの原因が動脈硬化とされている。他には大動脈弁狭窄(AS)や高安病(大動脈弁症候群)などが挙げられる。
危険因子としては、
①高脂血症 ②糖尿病 ③高血圧 ④喫煙(ニコチン)
が、4大因子とされている。
これらの他には、
⑤ Type A 性格
闘争心が強い人、ストレスを強く抱えてる様な環境下にある人間に多く、教師、相場師、ギャンブラー、医者などに多い性格と言われている。
⑥ 運動不足、⑦ 肥満(高脂血症を含む)
などがある。
では、虚血性心疾患の分類となりますと、
A. 狭心症: 可逆性、血行不足だが心筋(細胞)は壊死していない。
① 労作性狭心症 (STの低下、T波の減高、平均化、陽性化)
・労作による心臓への不可により、前胸部痛
・休めば15分以内に痛みは消失
・30分以上痛みが持続すると心筋梗塞の疑い大
② 異型狭心症(STの上昇)
・安静時に狭心症発作を起こす(朝方に多い)
・これは冠動脈の攣縮による
・心筋梗塞に移行しやすい。
③ 無痛性狭心症
・発作時に痛みがない(糖尿病を持っている人は危険)
・心筋梗塞の危険性が高い
B. 心筋梗塞: 心筋に壊死を起こした状態、不可逆性。前胸部に強い痛み(絞扼痛)
症状はどちらとも胸部痛を訴える。その際に狭心症の場合は、ニトログリセリンを与える事により痛みは軽減する。これは冠動脈の拡張する作用があるため。但し、
心筋梗塞に対しては痛みの軽減にはならないので、この際はモルヒネで鎮痛し、そのままCCU(虚血性心疾患専用施設)へ移送する。
確定診断を行うためには、冠動脈造影検査を行い、この際に狭窄の部位や程度を確認。
狭窄がそれほど強くない場合(狭窄率25%レベル)であれば、ニトログリセリン、Ca拮抗薬、生活指導、危険因子除去により改善される。もし
狭窄が強い場合であれば、緊急手術としてPTCA(冠動脈形成術)~バルーンカテーテルで狭窄して冠動脈を開くことになる。
緊急手術の適応として、
① 心室壁の破裂 ② 心室の中隔穿孔
③ 乳頭筋の断裂 ④ 心室内巨大血栓
であり、これらを放置すれば心原性ショックの危険を高めてしまう。