徒然なるままに

<   2006年 02月 ( 1 )   > この月の画像一覧

人間の強さ

今夜七時前に祖父が亡くなった、年は90歳。
祖父と言っても、母の父の弟さんなんだけど。
実は私の祖父は一卵性双生児だった。
その事実を知ったのが、実は私が高校生になった頃なのだが(笑)。

そのお祖父さん、広島の片田舎に住んでいる。
農家の人間で煙草の葉を作っていた。
そして奥様も未だ健在で御年92歳だ。
ただ困った事に20年ほど前から痴呆症状が酷かったりする。

数年前にこの祖母に、

「実さん(祖父の名前)は何処行ったの?」

と尋ねると、暫く祖母は次のようなことを…

「実は死んだ!」

これには私も驚いた(笑)。ただ笑うしかなかった。
そしてこの祖母、体が何処も悪くないから困ったものだ。
内臓もかなり丈夫で、医者も驚いているらしい。

さて話がずれてしまったが、
実は祖父、15年ほど前から何度も危篤状態に入っていた。
しかし毎回戻ってきていたのだ。しかもその後は普通に生活をしていた。
これには医者も相当に驚いていた。
医者からしてみれば、この状態までくれば普通は…ってレベル。
それが何度も不死鳥の如く甦ってきたのが私の祖父。
そんな元気な祖父を大学病院の教授がよく尋ねてきた。
何でも過去にあまり例が無いので研究をさせて欲しいとのことだった。

さてそんなスーパー爺様が今回は何故亡くなったのだろう?
当然ながら老衰と言えばそれまでになってしまうのだが…。

お祖父さん、ず~っと祖母を心配していました。
常に自分に何かあったら祖母はどうするのだろう…?って。
だから自分が先に逝くわけにはいかないって話していた。
それに傍目から見ても本当に仲が良かったし大事にしていました。
雰囲気としては、昔の洗剤の某CMみたいな感じだったんです。

そして先週末に老人ホームから私の母に連絡あった。
因みに、このお祖父さんたちに子供はいなくて、私の母が面倒を見ていたのです。
もちろん広島と横浜でかなり距離があるのですが、それでもちょくちょく帰省していました。

その連絡は危険な状態だから来て下さいとのこと。
この連絡を頂いた時点で、祖父の様態は血圧50台前半。自発呼吸不能。高熱だった。
翌日に母は広島に帰省。全ての用意をして出かけていきました。
ところが母が病院に着いた時には、既に元気な状態を取り戻しつつあるじゃないですか。
血圧も70台まで回復、微熱程度、自分で呼吸しているし…。
更には自分から喉が渇いたかた水をくれって話したとのこと。
これには医者もびっくり、我々もびっくりしました。
そしてその数時間後には普通に母と会話が出来たそうです。

その際にお祖父さんが尋ねてきたそうです。

「婆さんはどうした?」

って。自分がとんでもない状態に陥っているのに、この場でも祖母の心配をしているのです。
これを聞いた母は、

「婆さんはあっちの部屋で元気にしているよ。自分で何でもちゃんと何でもやっているよ。」

って。これって半分は嘘です。そして更に付け加えて、

「婆さんはちゃんとやっているから、お祖父さんも楽にしなさい。
何時何処で逝っても婆さんは元気でちゃんとしているし大丈夫だから。
向こうには(あの世)鶴男(私の本当の祖父)さんもご両親もいるんだから。
今まで自分が一番頑張ったって胸張って行けるでしょ。
戦争に二度も行って、その後は農家の表彰を受けて、皇居にも行ったでしょ。
もう何の心配も思い残すこともないでしょ。」

って。これを聞いた爺さんは笑いながら聞いていたそうです。

「婆さんが元気ならワシも安心じゃ(笑)」

って返事をしたそうです。この時点で我々は皆、またこれで暫く持ち直すと思っていました。
だから母親は夜七時頃に横浜にある自宅に戻ってきました。
そして、その数分後に病院から電話が鳴り、

「先ほど亡くなられました。」

って。これって凄く不思議です。ずっと不死鳥のように甦った祖父。
ところが今回は戻ってきませんでした。
死ぬ前に誰かにちゃんと思いを伝えたかったのでしょうか?
だから今回も一度は甦った。でも上記した様に母の一言。
それを笑って聞き入れ安心し、そして心おきなく旅立った祖父。
正直にこういった送り方もありだなっ思いました。

やっぱりお祖父さんは凄かったです。
お婆さんへの想い一つだけで、15年以上も生き延びました。
しかも入院生活だけでなく、普通の健常者として。
何時も妻を大事にして、仕事をこなして、最後の最後まで相手を思いやる。

すごい

って一言につきます。
そしてその呪縛から解放した母の言動にも関心します。
誰も長生きするなって言っている訳ではありません。
逆に元気ならその方が良いのですから。
でも晩年期はやっぱり生活としては辛かったはず。
痴呆になったお婆さんをずっと心配しながらの生活。
本当によく面倒をみていました。

だから私も正直に言えばホッとしている部分もあります。
私からしてみれば本当の祖父ではないです。ただの叔父です。
それでも双子だっただけにある意味では本当のお祖父さんでもありました。
社会人になってからも何回か会いに行ったりしていました。
2年前に自分の本当の爺さんが亡くなってます。
でも、そっくりなお祖父さんがいるのが嬉しかったです。

本当に安らかな眠りについてほしいと願うばかりです。


合掌

[PR]
by Sparky_ellensburg | 2006-02-07 01:19 | 日常