十二指腸に発生した潰瘍である。一般に球部に好発し、前後壁潰瘍を生じ接吻潰瘍kissing ulcerを呈することが多く、単発の場合は前壁に多い。前壁の潰瘍は穿孔しやすく、後壁のものは後腹膜に癒着して穿孔を免れている感がある。しばしば再発を繰り返し球部の変形、狭窄を起こす。時には球部よりも肛門側にも潰瘍が発生することがある。これを球後部潰瘍postbulbar duodenal ulcerといい、通常の十二指腸潰瘍とは異なった原因によると考えられ、消炎鎮痛薬などが原因と思われる例がある。原因として通常の十二指腸潰瘍は胃酸の高い症例に多く、酸度の高い胃液が十二指腸に流れ込んだときに粘膜のブルンネル腺や膵臓からの重炭酸イオンにより中和する機構が障害されていたり、粘膜の防御機構障害のために種々のストレスにより発症すると推定されている。また、まれであるが遺伝的要素や内分泌異常のMEN(multiple endocrine neoplasia)I 型(ウェルマー症候群)とくにゾリンジャー・エリソン症候群Zollinger‐Ellison syndromeによる高ガストリン血症のために潰瘍の穿孔や難治性潰瘍を示す(→ガストリン産生腫瘍)。症状は空腹時の心窩部痛、下血、吐血、悪心、嘔吐、食思不振、胸やけなどがあるが、まったく無症状で検診などで偶然に発見されることもまれではない。治療法は胃の酸および分泌を抑制するために制酸薬、抗コリン薬、抗ムスカリン受容体拮抗薬、H2受容体拮抗薬、プロトンポンプ阻害薬が基本的な薬剤である。そのほかに精神安定薬や粘膜保護剤などが使用されることがある。本疾患は再発しやすいため生活指導や定期的なカウンセリングなどが大切である。また、最近ヘリコバクターピロリとの強い相関性が話題になっている。
by Sparky_ellensburg
| 2005-06-08 23:29
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